マンションの修繕工事で信頼できる修繕業者の具体的な選び方
管理組合の役員として理事会へ参加すると、各種設備等の修繕検討の議題が多いことに驚くと思います。
マンションが竣工して間もない頃は不具合も少なく、何かあったとしても事業主などのアフターサービスで対応するため、管理組合が修繕を検討するケースは稀です。
ですが、築3年頃になると、アフターサービス期間が切れる部位やアフターサービス対象外となる共用廊下のコーナーのキズなど様々な部位の修繕検討が始まります。
理事会で共用部の修繕を検討するとき、最も心配されるのは業者の信頼性ではないでしょうか?
居住者の代表として理事会で共用部の修繕を検討するため、悪徳業者に依頼してしまうのは最も避けたいところです。
とはいえ、居住者から集めた管理費や修繕積立金を使って修繕するので、できるだけ安くしたいという考えもあるでしょう。
今回は、管理組合として納得のいく修繕工事が実施できるように、信頼できる修繕業者の選び方、見つけ方を詳しく解説します。
管理会社を元請にするのは安全だけれども…
安全性を重視するならば、マンションの管理を委託している管理会社へ修繕工事を依頼するのが1つの方法です。
日常管理をしているので、居住者の対応も出来ますし、他の設備への影響なども考えながら修繕工事を実施できるでしょう。
また、日常管理は続いていくことを考えれば、修繕工事後のアフターサービス対応にも安心感があります。
管理会社の修繕は高い!
ですが、管理会社を元請にした場合、費用面は他の修繕業者に依頼するよりも高くなるでしょう。
管理会社には修繕工事の実働部隊はおらず、管理会社から修繕業者へ再発注するのが基本となるからです。
管理会社の経費が上乗せになる分、修繕工事の費用は高くなります。
また、会計業務を委託されている管理会社は、管理組合の懐事情も把握しているため、価格競争力の低い見積が提出される恐れもあります。
管理会社への発注は信頼性が高いものの、できればそれと比較ができるように他に信頼できる修繕業者を見つけておきたいところです。
小さな修繕工事からまずは発注してみる
修繕工事には、数万円で終わる小修繕から数百万円に及ぶ大修繕までさまざまな規模があります。
塗装工事で例えるならば、廊下の手摺などの工事が小修繕、外壁など共用部全体に行う工事が大修繕に当たります。
信頼できる修繕業者を選定する方法の一つとして、小修繕の試し発注が挙げられます。小修繕ならば、万一発注した業者の作業が悪くても被害は少なくて済みます。
良い業者ならば、以降も工事を継続して発注することによって信頼関係を強化していき、管理組合から安心して発注できる業者になるでしょう。
少し長いスパンで考えていく方法ですが、時と共に信頼関係を深めていく、一番自然な方法です。
設備修繕ならばメーカー系の修繕業者も選択肢になる
多くの設備メーカーは自社で修繕部隊があるか、関連の修繕業者があります。
例えば、給水ポンプなどのメーカーであるテラルでは、テラルテクノサービスという系列会社があります。メーカー系の修繕業者は、その設備への知識や経験がありますので、信頼して修繕工事を依頼することができます。
費用に関しては、管理会社が元請になるほど高くはないものの、相応に高くなります。トヨタの車をトヨタの店舗へ修理に出す場合には、街中の車修理業者よりも高くなるのと同様です。
メーカー業者への依頼のデメリットは
また、設備更新の場合には、他社設備の提案が弱くなるというデメリットがあります。
メーカー系の修繕業者がライバルとなる他社の製品を納入する提案をすることは考えにくいので、メーカー系の修繕業者は信頼性が高いものの、設備更新や交換の提案には不向きと言えるでしょう。
設備の部品交換などの場合は、信頼性の高いメーカー系の修繕業者は選択肢の1つとなるでしょう。
修繕工事の規模・金額によって発注業者を考える
塗装工事をできる修繕業者といっても、個人経営の工務店から大型のビルやマンションを扱う業者まで規模は様々です。
大型ビルの工事を請け負っている業者に対して、マンションの一部の修繕を依頼したとしても、依頼を受けてくれないか、受けてくれたとしても高額で時間もかかります。
反対に、数百戸規模の大型マンションの工事を個人経営の工務店さんに依頼しても、作業員の確保は安定せず、資金力やアフターサービス対応に不安を抱くでしょう。
修繕業者を探す場合には、施工事例や会社規模を見ながら、依頼する修繕内容に適した業者に声をかけるようにしましょう。
最終的には担当者を信頼できるか否か
どれだけ適切な修繕業者を選択したとしても、理事会や総会における説明がたどたどしい場合には、信頼を置くことはできません。
マンションの設備修繕は専門的な内容になることが多く、その製品を採用する選択が正しいのか、理事会等で精査することは難しいのが正直なところです。
修繕業者をある程度絞り込んだならば、そこからは担当者をどれだけ信用できるかという問題になります。
これは決して理事長など個人の判断ではなく、役員全員など複数名が受ける印象で判断することが重要です。
役員や居住者が分かりやすいように、作業内容などをかみ砕いて説明してくれるなど、居住者に寄り添った提案のできる修繕業者ならば、安心して工事を任せられるでしょう。
修繕業者の選び方のまとめ
上述の判断基準の他に、管理組合の判断をサポートするコンサルタントを雇うという方法もあります。
コンサルタントは、複数の修繕業者と長く付き合いがあるので、スムーズに適切な修繕業者を紹介してくれるでしょう。
しかしながら、コンサルタントを雇うには費用がかかりますので、まずは、管理組合として信頼できる業者を見つける努力をしてみてはいかがでしょうか。
修繕業者を見つけるための活発な議論が管理組合活動を活性化させ、よりよいコミュニティの育成につながるでしょう。