大規模修繕で必ず入るべき保険!大規模修繕修繕工事瑕疵保険とは?
規模修繕は、マンションの維持管理に不可欠な工事と言っても過言ではありません。
躯体内部の鉄筋は水分に当たると発錆によって躯体の弱体化を引き起こす恐れがありますので、12~15年程度の周期で外壁や屋上などをチェックして、雨水が躯体内部へ入らないように補修することが大規模修繕の目的です。
大規模修繕では、これまでに居住者皆様が積み立ててきた修繕積立金の多くを使います。
マンションの代表として検討に参加するため、工事への責任を強く感じる方もいらっしゃるでしょう。
ですが、管理組合は、居住者の集まりですので、マンションの修繕に関して専門家が居ることは稀です。
- 「どの業者が良いのだろう」
- 「施工内容が正しいか判断が出来ない」
- 「管理会社が言っていることにも不安が残る」
など様々な不安を抱えながら検討をしなければなりません。
今回は、専門的な知識が乏しい中で出来るだけ安全に大規模修繕を実施するサポートとして、大規模修繕に関する保険をご紹介いたします。
大規模修繕工事瑕疵担保保険とは?
これまで住宅業界では、専門知識のある事業者側と専門知識が乏しい側という構図から、瑕疵への対応を事業者側に求めても、スムーズに対応がなされないケースがありました。
このようなトラブルを防止するため、新築住宅の購入や不動産の売買、リフォーム工事などで瑕疵が見つかったときに対応する保険が誕生し、これらに合わせて大規模修繕に関する瑕疵担保保険も誕生しました。
現在では、住宅瑕疵担保責任保険法人として以下の5社が国土交通大臣指定を受け、大規模修繕に関する瑕疵担保保険を提供しています。
住宅瑕疵担保責任保険法人
- 株式会社住宅あんしん保証
- 住宅保証機構株式会社
- 株式会社日本住宅保証検査機構
- 株式会社ハウスジーメン
- ハウスプラス住宅保証株式会社
施工会社の保証があるのになぜ保険が必要?
大規模修繕では、施工会社から工事後にアフター保証が付帯されることが一般的です。施工会社からアフター保証が付くのになぜそれとは別に保険の加入が必要なのか。
それには2つの理由があります。
1.施工会社の倒産リスク
屋上防水には10年間の漏水保証が付帯しますが、保証期間中に経営が傾き倒産してしまう可能性はゼロではありません。
漏水保証が付帯されても施工会社が対応出来なくなってしまっては保証の意味がありません。保証とは別に保険に加入しておくことにより、施工した会社が保証をできない状況になったとしても安心です。
2.瑕疵の判断に関するトラブル
管理組合と施工会社で瑕疵かどうかの判断が分かれる場合です。
施工会社の立場では、大規模修繕完工後のアフター対応に要する費用は出来るだけ抑えたいと考えています。
もちろん、大規模修繕の費用の中にアフター対応に要する経費も見込まれているので、明らかに保証しなければならない事案では会社の信用問題にも関わるため、補修対応を速やかに実施するでしょう。
しかしながら、アフター対応をすべきか否か微妙な事案というのもあります。
このような事案の場合、保険が適用されれば、対応費用が保険金で賄われるため、スムーズな補修工事の実施が可能です。
工事品質の確保に一役買います
瑕疵などがあったときに適用される保険ですが、管理組合としては、トラブルが無く安心して暮らせるほうがもちろん良いでしょう。
大規模修繕の瑕疵担保保険には、トラブルの発生を防止するために以下の2点から工事品質の確保が行われます。
設計施工基準への適合確認
保険に加入するためには、一定の施工基準に則った設計が必要になります。管理組合では、大規模修繕の工事設計が良いのか悪いのかを判断する術が乏しいのが実情です。施工方法や工程などについて、1つの目安基準があり、それに則った設計がなされることによって、一定の安心感が得られます。
検査員による検査
設計施工基準への適合確認は施工の前段階である設計時の安心でした。
施工が始まったら、防水や最上階の構造など施工状況の確認のため、保険会社から検査員が派遣されます。
施工会社とは別の目線で工事をチェックしてもらうことができるので、施工への安心感につながります。
事故調査費用が支払われるメリット
漏水などの事故が発生した場合、最初に行われることは「どこに原因があるのか?」です。
大規模修繕で施工した範囲に問題があるのであれば保険や保証の対象となりますが、施工範囲外の部位が原因の場合はもちろん保険や保証の対象外となります。
この「どこに原因があるのか?」という原因調査をするには費用がかかります。
漏水事故であれば散水や水張によって水が入る箇所を探す調査方法もありますし、炭酸ガスなどを用いて水が通る経路を探す調査方法もあります。
漏水事故が発生したとき、居住者や管理組合は被害者ですので、被害者側が調査費用を支払うことについて疑義を感じてしまいます。最終的に大規模修繕に関わる部位と原因が特定できれば良いのですが、実際には原因が特定できないケースもあります。
この瑕疵担保保険には、事故原因の調査費用が保険内容に含まれています。
これがあることによって、事故が発生したときには費用に関する心配が少なくて済むのでスムーズに事故原因の調査を始めることができます。
漏水やタイルの剥落など緊急性を要するケースもありますので、管理組合としてスピード感をもって対応できるのは大きなメリットです。
大規模修繕瑕疵保険の保険料
以下の事例は、株式会社住宅あんしん保証のパンフレットに掲載されている保険料の一例です。
事例1
基本補償+タイルの剥落に関する特約(5年)+防水工事に関する特約(10年)
請負金額:2,800万円(税込)
延床面積:2352㎡
戸数:28戸
保険金額:3,000万円
⇒保険料は233,450円(※請負金額の0.83%)
事例2
基本補償+タイルの剥落に関する特約(5年)+防水工事に関する特約(10年)
請負金額:4800万円(税込)
延床面積:4032㎡
戸数:48戸
保険金額:5,000万円
⇒保険料は290,010円(※請負金額の0.60%)
瑕疵保険の保険料は高くない
ご覧の通り、戸数で割ったら各戸1万円にも満たない金額です。考え方にもよりますが、大規模修繕後の長期間の安心材料と捉えれば、そこまで高い保険料ではありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。大規模修繕の瑕疵保険は施工業者が加入する仕組みになっており、事前に事業者登録が必要です。
責任施工の場合では特にこの保険が役立つでしょう。
大規模修繕の見積取得段階で事業者登録をしているかどうかを条件にしておくと後々の保険加入手続きがスムーズです。
管理組合の役員は毎年のように変わっていきますので、事故が発生したときには、大規模修繕を検討した際の経緯を知らない役員になっているケースも多くあります。
役員の負担軽減にもつながりますし、居住者の皆さまが安心して暮らしていけるポイントにもなりますので、保険加入の積極的な検討をおすすめいたします。