自主管理マンションにおける大規模修繕の考え方!
自主管理マンションにおいて、大規模修繕はどのような形で行うのが望ましいのでしょうか。
今回は自主管理マンションと大規模修繕についてお伝えします。
自主管理マンションとは
まずは自主管理マンションについて触れておきたいと思います。
自主管理マンションとは、「管理組合が管理業務を管理会社に委託せず、全て自らの手で行う管理方法」を行っているマンションを指します。
国土交通省が平成30年度のマンション総合調査の結果によると、調査に回答したマンションのうち、約10%が自主管理型マンションであるとの結果が出ています。
参考資料:https://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf
多くは昭和の40~60年代に建てられたマンションがこの自主管理を採用しており、いわゆる高経年マンションに比較的多い傾向がみられます。
自主管理マンションのメリット
現在は管理会社管理によるマンションが多い中で、自主管理のメリットとしてはどのようなものが挙げられるのでしょうか?
管理費が安い
すべての管理を自分たちで行い、管理会社に依頼しない管理方式のため、管理費の大幅な節減が挙げられます。
区分所有者にとって、管理会社に依頼する場合、戸数や床面積に寄って変わるものの、1万円前後の負担は強いられますが、自主管理の場合は毎月負担する管理費が数百円等で収まることも考えられます。
また、後述する大規模修繕を自分たちで行う事を考えると、普段の修繕積立金の額にも影響する大きなメリットになります。
区分所有者の意識向上
次に挙げられるのが、自分たちですべてを管理するため、理事会はもとより、区分所有者の管理意識の向上が挙げられます。
自分たちでマンションをしっかりと維持して行こう、良くして行こうという意識が非常に高いこととなります。
また、理事会独自で修繕を業者に依頼するため、とりわけ長年自主管理であると、業者リストが蓄積・ブラッシュアップされ、どこが金額的・品質的にも適正な業者であるかの知見も溜まってくることが挙げられます。
これは後々自分たちで大規模修繕を行うにあたってのノウハウとしても生きてくるところです。
住民同士のコミュニケーションが活発
更に、自分たちのマンションを良くして行こうという動きから、理事会や住民同士の交流が活発化して、より良いコミュニティ形成に寄与することが考えられます。
これも管理会社管理では管理会社を通じて間接的に住民のコミュニティが形成されることから、自主管理による直接的なコミュニティに比べて劣ると考えられます。
自主管理マンションのデメリット
自主管理のデメリットについては姉妹サイトのマンション自主管理3つのデメリットを参考にご紹介ていきます。
管理が安定しない
まずは、管理の安定性・継続性が確保されない点が挙げられます。
自主管理は自分たちで管理を行う必要があることから、これらが上手く機能するためには、区分所有者の中に管理に関連する専門的知識を持っている人がいることや、合意形成のためのリーダーシップが必要です。
また、高経年化とともに住民の高齢化が進んでいることから、今のリーダーが引退してしまうと次のリーダーがいないというケースもあります
建物・設備の管理が不十分になるケースもある
専門知識のない理事会だと、設備の定期点検が継続的に実施されず、マンションの劣化が進んでしまい、外壁タイルの劣化や、鉄筋の露出、さらに将来的にはマンションのスラム化が危惧されることもあり、治安や壁面タイル落下等、周辺地域にも迷惑をかけてしまうことに繋がります。
そして、このような事になると結果的には資産価値が低下します。
マンション管理も点数化されていく時代で自主管理は資産価値も低く見積もられます。
自主管理から管理会社管理への変更
マンションの高経年化と住民の高齢化に伴い、自主管理の限界も出てきます。
その場合は、管理会社に全てまたは一部を任せることも検討する必要があり、自主管理から管理会社への委託に切り替えている組合も増えています。
このようなサイトを活用して管理会社を見つけるといいでしょう。
自主管理における大規模修繕の考え方
さぁ、ここからが本題です。
自主管理において大規模修繕工事を成功させるためには、自らが管理会社がやることに近しい動きをしなければならないのですが、どのような動きをしていけばいいのでしょうか?
自ら長期修繕計画を作成しながら、相見積もりを取得して、業者のヒアリングを行い、最終的に理事会で決定する
これらを管理組合や理事会自ら実施しなければならないのです。
コンサルタントを入れる設計監理方式
自分たちで施工業者を見定め、作業工程をチェックするし、大規模修繕工事全般をまとめるのは非常に大変です。
通常の管理により発生する修繕は自分たちで実施するものの、大規模修繕工事は、設計監理会社に、つまりコンサルに依頼して実施する方法もよいでしょう。
これは中規模、大規模マンション向けにおすすめの方式です。
自主管理マンションに対して、コンサル経験があるかどうかを条件とし、業者を探していきましょう。
管理組合が主体となった責任施工方式
コンサルタントを入れずに、自らが主体となって工事の施工会社とのやり取りを実施する方式です。
施工会社を選定することが組合の大きな仕事になるでしょう。
これは小規模マンション向けの方式です。
自主管理で管理組合に対して大規模修繕工事を行った事があるか、責任施行方式の実績が豊富か、といった条件で施工会社を募集するとよいでしょう。
まとめ
自主管理マンションにおける大規模修繕では、管理会社が行うことを理事会や管理組合が肩代わりしなければなりません。
理事会のリーダーシップや、円滑なコミュニケーションが必要です。
コンサルに頼む設計監理でも、施工会社に直発注する責任方式でも、どちらの方式でも、自主管理マンションの経験がある、実績があるといった業者を見つけ、サポートの手厚い業者を見つけることが大切です。