大規模修繕で損をしないために!知っておきたい知恵や工夫
マンション大規模修繕とは足場を設置して外壁や屋上防水を補修する修繕作業であり、一般的には12年程度の周期で実施されてます。
この大規模修繕、人件費の高騰やマンションの構造などで増減はありますが、1住戸100万円程度が相場と言われます。
30戸なら3,000万円、50戸なら5,000万円にもなる大がかりな工事です。
修繕積立金が月額1万円ならば、年間12万円ですので、8~9年間積立てたお金がこの大規模修繕で一気に使われると考えれば、マンションにとってどれだけ重要な工事かお分かりいただけると思います。
今回は、この大規模修繕において、損をしないための知恵や工夫を解説していきます。
大規模修繕では必ず相見積を取得する
これは当たり前の事ですが、工事金額の妥当性を確認するために、複数社から見積を取得することが最初のポイントです。
施工会社によって得意・不得意はある
同じ業界の同規模の会社でも、防水に強い、塗装に強いなど得意な分野が異なります。
例えば、元々防水業をメインに取り組んできた修繕業者ならば、屋上防水に必要な材料職人を手配するのは慣れているので、安価にできるでしょう。
低層で屋上が広いマンションは、このような屋上防水を得意とする業者が安価になるかもしれません。
一方、高層マンションならば、足場架設が課題になります。
足場を架設しないで屋上からブランコで降りながら修繕を実施する方法などもありますので、足場などの見識が深い修繕業者の方が適した提案ができるかもしれません。
効果的な相見積の取得方法
効果的な相見積の取得方法は管理会社を利用せず、会社規模などが異なる複数の修繕業者へ見積を直接依頼する方法です。
この方法であれば無駄なマージンをカットできるため削減方法として非常に有効です。
また、規模の大きいマンションであればコンサルタントに利用することも工事金額の透明性を確保するためには有効でしょう。
大規模修繕の施工範囲と施工内容をしっかりと考える
多額の出費を要する工事ですので、出来るだけ安く最小限に実施しようとするお気持ちは分かります。
ですが、大規模修繕の場合は、施工範囲は広めに考えておくべきです。
大規模修繕の場合、足場を架設することが一般的であり、この費用はどうしても発生してしまいます。
足場の架設は数百万円、大きなマンションでは数千万円に及ぶため、大規模修繕以外の工事で足場を架設することが長期的に考えると一番の損になります。
例えば、足場架設に500万円を要する場合
今回の大規模修繕で外壁の塗装材料として使用する予定であった300万円の塗料を削減するために200万円の塗料に減額できたとしても、大規模修繕後8年程度で劣化してしまった場合には再度足場架設が必要になるため、500万円が別に必要になります。
そうなると、この塗料の選択は損をしてしまったという結果になります。
目先の削減だけでなく、長期的な視点を
これはあくまで一例ですが、大規模修繕は12年程度で1回実施する頻度の低い工事ですので、工事周期が早まってしまうような使用材料の変更は結果的に損になってしまう恐れがあります。
コスト削減も非常に重要ですが、目先の見積に囚われず、長期的な視点から何をどのようにしたら経費などをまとめられるのかをしっかりと考えるべきです。
大規模修繕の翌年やその次の年に実施される予定の工事があれば、それもまとめた方が経費は圧縮できてメリットが得られる可能性があります。
マンション内をスペースを有効活用する
大規模修繕は、小規模マンションでも数ヶ月の期間を要する工事です。
工程が多岐に渡るため、作業員の打ち合わせや各種掲示物の作成などのため、現場事務所が設立されます。
現場事務所をマンション外に設置する場合、どこかのアパートなどを借りなくてはなりません。
民間の借家ですので、敷金や礼金、仲介手数料なども発生するでしょう。
現場事務所1つで費用は変わる
現場事務所をマンション内のスペースに設置するだけ費用は大きく変わります。
もし、エントランス内にピロティがあれば、そこを利用することも出来ます。
また、駐車場は居住者の車両契約が歯抜けになっているのを一時的にまとめれば、比較的広いスペースが取れる場合があります。
確かに現場事務所や資材置場がマンション内にあると、通行に支障を来たす恐れもあれば、美観を損ねるでしょう。
ですが、設置出来れば、大規模修繕工事の費用が節約できるので、居住者皆さんのメリットになります。
これらの経費については、出来るだけ節約できるように修繕業者と協議をするのも1つの工夫です。
信頼できる施工会社を選ぶ
大規模修繕中の作業がしっかりとなされるかという点ももちろん大切ですが、管理組合という組織は大規模修繕への知識がそれほど持ち得ていないため、詳しい確認を行うにも限界があります。
大規模修繕中に関しては、出来る限りの確認を行うしかなく、むしろそれまでの過程の中で
「この修繕業者ならしっかりと大規模修繕工事を実施するだろう」
という信頼を置けるようになっておくべきです。
信頼できる施工会社を選ぶことは非常に重要です。
大規模修繕後のアフター点検を大切に
そして信頼に繋がるのがアフター点検です。
管理組合としては、大規模修繕後のアフター点検の方が重要です。
なぜならば、大規模修繕後は足場が無いため、バルコニー内のチェックは各居住者に委ねられるからです。
保証期間が2年の範囲について、居住者からの指摘が5年目にあったとしても大規模修繕業者に補修する義務はありません。
共用部ですので、管理組合負担による修繕を行い、大規模修繕とは別途の費用を要するでしょう。
組合としてもアフター点検をしっかりと
保証の範囲でできることを通知せずに保証期間切れになってしまうのは、管理組合にとって大きな損失です。
多くの修繕業者は、大規模修繕後、1年・2年・5年という時期に点検を行いますが、管理組合としてその中間期などにアンケートを実施してはいけないというルールはありません。
例えば、総会の出欠票の裏面を大規模修繕のアフター保証に関するアンケートにするなど、定期的な情報収集がとても有効です。
大規模修繕で損をしないために
大規模修繕は、マンション関わる多くの工事に中でも一番重要な工事です。
費用も多額であり、見積内容を精査するには専門的な知識が必要です。
管理組合としては、難解な見積を精査に注力せず、「他の工事とまとめる」「経費をまとめる」「マージンをカットする」という支出削減や「保証期間内にしっかりと指摘する体制」などに注力することが、大規模修繕で損をしないために費用なことです。