大規模修繕工事において、理事会と理事・監事の果たすべき役割とは

大規模修繕工事を実施するにあたり、修繕工事前と工事中においても、理事会や、理事・監事が果たすべき役割がそれぞれ存在します。
どのような点に注意して臨むのが良いのか、今回紹介します。
大規模修繕工事における理事会での検討事項
何といっても大規模修繕工事をはじめに考えていくのは理事会からとなります。
理事会での議論や予め立案している長期修繕計画から、いつ実施するのが望ましいのかを検討し始めるのがほとんどでしょう。
近い将来、大規模修繕工事を行っていくにあたって、具体的にはどういったことを検討していくことになるのでしょうか。
大規模修繕委員会の立ち上げ
理事会内で通常の議題を議論することに加え、大規模修繕について細かく議論していくには、理事の負担が大きくなり限界があります。
従って、理事会の諮問委員会として大規模修繕委員会を立ち上げ、大規模修繕工事については個別で議論するのが一般的です。
その場合、大規模修繕委員を区分所有者の中から公募や推薦により募り、委員会を組成する必要が出てきます。
その旗振り役は、まずは理事会からになると考えられます。

長期修繕計画の見直し
大規模修繕工事の前後において、これまで立てていた長期修繕計画を見直していく必要があります。
実施する大規模修繕工事と並行して、今後の長期修繕計画を全般的に見直していくことが望まれます。
国土交通省が推奨しているのは、別コラムでも何度が記載させて頂いておりますが、「長期修繕計画については30年以上のものであり、その中に2回以上の大規模修繕計画がある」ものです。
また、これが5年程度毎に見直していくことが望ましいとされています。
前回の見直しが5年に満たない場合であっても、直近の大規模修繕工事における工事内容を踏まえながら、見直していくことが望ましいでしょう。

理事会ならびに管理組合総会での実施の決議
修繕委員会から挙がって来た大規模修繕工事案に対して、理事会にて実施することを決議した際には、区分所有者全員に対しても共有していかなければなりません。
そのためには、区分所有者が参加する管理組合総会に議案を掛けて、工事内容やスケジュール、工事金額等の決議をしていく必要があります。
工事に着手するのは総会決議が行われてからとなります。

理事や監事が果たすべき役割
理事会に続いて、理事会の構成員である理事や監事がそれぞれ果たしていくべき役割にはどのようなものが考えられるでしょうか。
理事として考えられること
理事においては、大規模修繕工事を実施することに対する理解は当然のこととして、理事会内で修繕委員会から具申された内容について、検討する役割を理事の個々が果たしていかなければなりません。
勿論、工事内容の細かい内容の理解は、修繕委員会に任せておくことで良いかと思いますが、実施時期や金額、おもな工事内容については適切なものであるのかどうかは理事自身で見解を持っておくことが望まれます。
さらに、望ましいのは修繕委員会を立ち上げる場合において、理事の一部が修繕委員を兼務している事です。
修繕委員会は工事内容を具体的に議論することとなりますが、その進捗状況等を随時理事会に上手く伝えていかなければなりません。
修繕委員長を兼務する必要はないかと考えられますが、委員の中に理事が入っていると、双方においてメリットは高まると考えられます。
また、理事長が委員に入っていたり、修繕委員会に関与したりしていると尚可であり、理事会や総会における合意形成を組み立てていくことにおいても、よりスムーズにいくことが考えられます。
監事として考えられること
監事は原則、管理組合全体や、理事・理事会に対するチェック機能を果たす重要な役割を担います。
修繕委員の業務や工事金額のチェック等、監事によるチェックが大規模修繕工事においても有効に機能すれば、工事内容や工事金額により合理性が生まれるでしょう。

大規模修繕工事実施時の役割
大規模修繕工事実施段階でも、大規模修繕委員会や理事会、理事において対応事項が考えられます。
工事中に確認しておきたい点を挙げてみたいと思います。
理事会や修繕委員会からの情報共有
日々の工事においての進行状況や、住民に注意しておかなければならないこと、工事中の制約など、大規模修繕中にも発生します。
外壁工事においては、洗濯物や布団などを干すことが出来なかったり、窓を開けることによる弊害などが発生する可能性があるかもしれません。
これらの点において住民が不安視しないようにするためにも、開かれたコミュニケーションが重要であると言えます。
修繕委員会や理事会において、随時住民に開示すべき事項を、施工会社や管理会社と確認しながら進めていくことが非常に大切になってきます。
工事進行状況の確認
工事日程に従って工事が進んでいるかどうかの確認は、施工会社任せではなく、修繕委員会や理事会でも確認しておくことが必要となります。
とりわけ、何らかの事情で遅れが発生することとなる場合は、修繕委員会や理事会内だけの影響では収まらず、住民の生活においての影響にも及びます。
進捗管理という面からも、工事開始当初から順調に工事が進んでいるかどうかを確認するのが望ましいでしょう。
設計図書や工事資料の整備
大規模修繕委員会は、大規模修繕工事が終了すると解散することになります。
また、理事会とは独立した組織であるため、解散後に工事を検討した資料や設計図書などの管理が人に紐づいてしまったり、まとめて管理されてなかったり等、管理が煩雑になっている可能性があります。
これらの書類を整備して、次回の大規模修繕工事や長期修繕計画の見直しの際にも参考に出来るように引き継いでおくことが重要です。
一方で、書類を紙で残すのではなく、データとして残すことも考えておくと良いでしょう。
とりわけ、管理組合においてクラウドサービスなどによるオンライン化が進んでいる場合、紙の資料をPDFへ電子データ変換を行い、いつでも関係者が閲覧できるような一元管理された環境を構築しておくことも大切です。
まとめ
理事会や修繕委員会が大規模修繕工事において果たすべき役割として、工事前の検討段階と工事中の役割、そして工事終了後の次の工事に向けてやるべきことなどをご紹介しました。
長期修繕計画の定期的な見直しや、設計図書の引継ぎ等、次期の工事に向けての対策も必要になってきます。
当該記事を通じ、少しでも管理組合様や理事の方々の参考になれば幸いです。